YUI'S VOICE (3)
ーーいつの間にか2019年も1月が終わろうとしていますが(笑)、昨年の振り返りと今年の抱負についてお話しいただけますか?
荒井 2018年は自分の拠点を少し見つめ直す時期でもありました。ドイツから地元福井に戻って7年ほどになりましたが、教育活動や公演企画など、多方面からいろいろな音楽家たちを福井にお迎えしてコンサートを企画してきました。たくさんの音楽仲間たちと話をしていくなかで、自分の活動拠点をこれからもずっと福井にしてやるのかな?と考えるようになったのがちょうど1年前でしょうか。2018年を迎えたときでした。
いくらフットワークを軽くしていても、福井在住というと、関東や関西の音楽仲間たちからするとものすごい遠いところにいるっていうイメージだそうです。福井は自分にとってとても居心地のいい場所であり、いつもたくさんの方々に応援していただけて、のびのびと音楽活動できる場所ではあるのですが、このままずっと心地いいものが続くのもなんだか刺激が足りない気がしました。じゃあいっそのこと一回飛び出してしまえ!とも思ったのですが、福井でしっかり携わっていることもあるので、関東にも関西にも出やすく、そして福井にもすぐに帰れる場所がいいのでは?と思い、名古屋に住んでみようかな、と考えついたのです。
それまでも名古屋に行く機会も多かったので、名古屋に住んだたら名古屋での音楽界の方々にももっと幅広く出会えるかもしれないし、とどこまでもポジティブに飛び出してみることにしました(笑)。実際、名古屋でもたくさん演奏会の機会をいただくようになり、新しくいろいろなお客様にも聴いていただけて嬉しく思っています。
ーー昨年は名古屋でソロリサイタルも開催されました。
荒井 このリサイタルのお話は名古屋に引っ越す前の2017年にお話をいただいていたので、リサイタル開催の日にまさか名古屋の住まいから会場に行くと思わなかったな〜と、これもご縁なのかなぁ?と思ってその日を迎えました。
数年ぶりのリサイタルは、名古屋で初めて聴いていただく方もいらっしゃったり、福井からもたくさん駆けつけてくださり、とても幸せでしたが、一つのプログラムを弾ききるという大変さも思い出しました。どうしても普段は室内楽の機会が多いので、リサイタルをフルプログラムでやるのは体力的にも精神的にもこんなに違うんだなと改めて実感しました。それでも頭の中では「こんなのをシリーズでやりたいなぁ〜」とか、企画の考えだけはどんどん膨らんでいます(笑)。
今年5月25日の東京でのリサイタルの実行委員の皆さんが名古屋まで聴きに来てくれたことも、本当に嬉しかったです。東京では去年のリサイタルよりも広い会場になるので、またきっと当日になって得るものも多いんだろうな、と今からとても楽しみにしております。
ーー私たちもとても楽しみです。2019年はどんな一年にしたいと思われてますか?
荒井 今年はどんな一年にしようか、というよりも、自分自身いまから楽しみな公演がたくさんあります。大きなソロリサイタルはもちろんですが、また今年もいろいろな素晴らしい音楽家たちとごいっしょできる機会があります(やっぱり誰かといっしょに室内楽!が好きなんだと思います 笑)。さらなる出会いを求めて、来るチャンスはしっかり受け止めていけたらいいな、と思っています。
いちばん近いものだと、2月にウクライナへ行ってきます。ウクライナは2013年に行ったことがあり、チェルニーゴフという小さな街でブラームスの二重奏協奏曲を現地のチェルニーゴフフィルハーモニーと共演させていただきました。そのウクライナでの演奏会の1年後くらいでしょうか、観光した首都キエフの街が暴動や戦争によって燃えていたり、自分が観光で歩いていた街の建物が崩れていたり、人々が泣き叫んでいたり、という光景を見ました。心が裂けそうになりました。
ーーウクライナではどんな曲を演奏されるのですか?
荒井 今回はチェルニーゴフと、キエフでも演奏させていただくのですが、ソロで協奏曲を演奏してくださいとオファーがあったときに、エルガーのチェロ協奏曲を演奏したいということを伝えました。とても美しい旋律が多いこのコンチェルトですが、第一次世界大戦のあとに書かれた作品でもあるからなのか、人間が持つ日常の喜びや幸せの裏にある孤独だったり葛藤だったりが見え隠れする作品だと思います。
最近でもニュースでは相変わらず世界情勢が不安定だという報道もあるいま、自分は戦争を経験していない、戦争を知らない人間ですが、決して平和ボケしていてはならない、他人事ではないと感じています。自分が何かできるわけでもありませんが、ウクライナでエルガーの協奏曲を演奏することで聴いてくださる一人でも多くの方々の心に、当たり前であるはずの世界平和を願っている、ということを届けたいです。
ーーなるほど、これはウクライナまで聴きに行きたくなりますね。
荒井 極寒のウクライナの美しい氷の景色も楽しみです。ヒートテックは上下2、3枚重ねでしょうか。きっと寒すぎてインフルエンザはいないと思います(笑)。極寒も、一つの経験を得るということで楽しんできます。
※ウクライナでの演奏会についてはこちらをご覧ください。
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